毎年ニュースで華やかな成人式の様子をみると、苦いものを飲み込んだような気分になる。
私には成人式の思い出がない。
というのも成人式には行っておらず、その日はただ家にこもっていた。
なぜ一生に一度の成人式に行かなかったのか。
理由は二つ、単純にお金がなくて衣装の用意が出来なかったのと、諸事情により転居が多く住所がごちゃついていて成人式の案内が手元に届かなかったのだ。
どうしても行きたければ、友人から情報を得て持っている服で参加すればいいのだが、そうする気もなかった。同級生に会って楽しみたい、よりも、自分の惨めさを晒したくなかった。
この時期になると、パートナーや同僚から成人式の話を振られることがよくある。
今は何の不自由もないが、当時のことには目を背けたくなり、適当に誤魔化してしまう。
今年は、コロナ禍が成人式にも影響が出ており、オンラインを活用したりドライブスルー形式にしたりと苦慮がうかがえる。
当時の私だったら、参加しないことに対して感染症対策という大義名分を得て、胸をなで落ろしたであろう。
しかし、奨学金をもらって大学に通い、アルバイトで生活費を稼いでいたので、もし自分がこの状況だったらと考えると本当に恐怖でしかない。
今現在、あの頃の私と同じような環境にある学生さんの事を考えると胸が痛い。
明けない夜はない、といっても、いつ明けるのかにもよる。
給付金などの支援が、生きる糧として本当に必要な人の元へ届きますように。